八ヶ岳:小同心クラック

 

4/17(土)~18(日)

 

 岩間  みー(記)

 

 

 

 

        

 4月17(土) 晴れ

金曜日から土曜日の朝にかけて、記録的な季節外れのドカ雪が降った。

甲府盆地でも積雪があったため、土曜日は入山のみとして、日曜日に登る予定で美濃戸に向かう。

美濃戸の駐車場には20センチ近く積雪があり、春山とは思えない雪景色であった。

新雪が積もった林道を歩き、赤岳鉱泉に向かう。赤岳鉱泉は更に雪が深かった。

テントを張ってから、大同心稜に明日のためにトレースを付けにいく。

硫黄岳に向かう登山道を少し歩き、大同心沢との分岐になる。

大同心沢に入ったトレースがあった。そのトレースは大同心大滝に向かって続いていた。

私達は、「森林限界くらいまでトレースを付けておこう。」と尾根に取り付いた。

急登をラッセルしながら登っていくと、やがて、ツルツルの凍った上に新雪が積もった状態になってきた。

アイゼンを蹴りこむと、雪がサーと落ちる状態で、丸まったアイゼンとピッケル無しで下るには心許ないので

30分程登ったあたりで引き返す。

大同心からのトラバースがこの状態だったら、雪崩の可能性があるから明日は敗退だな~と考えながらテントに戻った。

 テントに戻ってから、山小屋に遊びにいった。

赤岳鉱泉は夕食のメニューは「煮カツ」だった。

厨房を覗くと、肉に小麦粉をつけて、卵をつけて、パン粉をつけて、一枚一枚カツを揚げていた。恐るべき山小屋!

私達はテントに戻って、食事をして、明日のために早めに寝た。

 

        

 4月18(日) 晴れ

 昨日は午後から気温があがったせいで、積雪も目に見えて減っていた。

6時にテントを出発し、大同心稜に向かう。

昨日、大同心大滝に行った人達は、上に抜けて大同心稜を下降したようだった。

登ったばかりのアイゼンの跡もあり、昨日のラッセルは意味なかったかな?と思いながら登る。

昨日と違って、新雪が少し固まっていたので、昨日より歩きやすいが、

ツルツルに凍った急斜面では、アイゼンを蹴ってシングルアックスで登ったので脹脛が疲れた。

森林限界を越えると、小同心にトラバースしたトレースが見えた。既に、誰か入ったようだ。

大同心基部まであがると、思ったより雪の状態がいい。風に飛ばされて積雪が少ない。雪も比較的硬い。

先行者のトレースを辿って、雪崩の兆候を見落とさないように、慎重にトラバースを開始する。

積雪が多くなっている箇所は、息を整えて、刺激をあたえないよう静かに一気に通り過ぎる。

無事に小同心クラックの取付に到達しホッとする。

 取付には、私達より少し前に到着したパーティーが、準備を始めていたところで、

吹きさらしの中、長い待ちになってしまい、手先、足先もすっかり冷えてしまった。

テン場も小屋も空いていたので、3パーティーも小同心クラックに入るとは思わず、少し出発時間を甘くみていた。

 

1P目

出だしは右よりから入って、登っていく。

傾斜はあるが、ガバが豊富で、岩に氷が張り付いていないので、非常に快適。

ピトンが2本打ってある所を越えたところに、ピトンが2本打ってあったので、そこでピッチを切ろうとしたら、

下から「ロープまだ10mある」と言っている。

先行パーティーも、上から「もう一段上にも支点があるよ」と声を掛けてくれたので、もう一段あがった。

5mおきに3箇所もペツルが打ってあった。

 

2P目

一歩右に出て、クラックというのかチムニーに入っていく。

一旦クラックは終わり、再度、真直ぐ上段のクラックに入る。

フォローだからと適当に登っていたら、身体が変な向きを向いてしまうし、クラックの中に入り込んでしまい、

狭苦しい登りになってしまったが、フォローだから何でもあり。

 

3P目

右上する広いバンドを少し上がれば小同心の頂上。

 

4P目・5P目

傾斜の緩い雪稜。途中でランニングはとれないがビレーをして、ロープをいっぱい伸ばしピッチ切る。

コンテで行けたかもしれないが、昨日の大同心稜の状態を考えると安全第一。

4ピッチ目は大岩でピッチを切り、5ピッチ目は横岳の岩稜基部までは行けず、少し手前の潅木でピッチを切る。

 

6P目

雪稜から岩稜に入る。下部の岩稜のように支点用にペツルは打ってない。

ピトンが2本打ってあるところでピッチを切る。

 

7P目

顕著なラインがないので、なんとなく登りにくい。

傾斜が緩い岩稜を登っていくと横岳の山頂となる。

 

山頂で少し休んで、下山にかかる。

地図を見る限りでは地蔵尾根を下降したほうが近そうであったが、そっちの方が急峻な尾根が続く。

どうして地図上で遠回りになる硫黄岳経由で下山するのか一目瞭然であった。

硫黄岳とのコルに下る道は悪く、緊張を強いられる。

鎖場を通過してコルに下りてホッするが、今度は硫黄の登りにうんざり、ヘロヘロ。本当に疲れる。

硫黄岳経由で下山する頃には、風も止み、気温も上がってきた。

 赤岳鉱泉まで戻り、スープを飲んで、テントを撤収して下山する。

美濃戸までの下りは、いつものように凍っていなかったので、非常に歩きやすく1間弱で着いてしまった。

駐車場にあった昨日の雪は、すっかり消えていた。

 

<コースタイム>

  赤岳鉱泉(:00) (:36) 小同心取付(:15)-横岳山頂(10:18)-赤岳鉱泉(12:29)

 

 

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