南アルプス:尾無尾根から間ノ岳へ (雪山) 5月2日(土)〜5日(火) 岩間 田中 みー(記) 真ん中のボコボコした尾根が尾無尾根⇒ |
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夜叉神を出発し尾無尾根から間ノ岳に抜けて、北岳を経由して夜叉神に戻る周遊コースの計画を立てた。
尾無尾根は、間ノ岳に突き上げる東面に2本ある尾根のうちの1本で、尾根が短いため傾斜がきつい尾根だ。
こういうメジャーでない山の良さは、情報があまりない、道がない、人がいない、トレースがないという楽しさがある。
ロープは不要とも思われたが、補助ロープと簡易ハーネスを作るためのシュリンゲ、敗退となった場合の下降器を持って
後半で崩れる可能性を考えて土曜日の出発にした。
5月2日(土) 晴れ
5時半に竜王役場に集合し、夜叉神登山口に向かう。
ゲートをくぐり林道を歩いていくと夜叉神トンネルになる。
後で知った事であるが、広河原に向かうこの林道は、朝8時半前?でないと通してくれないそうだ。
ゲートを通してもらえず、夜叉神峠を越えた人達に会った。
夜叉神トンネルのシャッターは開かず、脇の扉の鉄格子の間からザックを押し込みトンネルに入る。
鷲住山を越え、野呂川発電所がある荒川出合に出た。
長いゴーロ歩きと雪代が入った沢の渡渉を覚悟して、荒川沿いの舗装された林道に入った。
舗装された林道は間もなく終わり川原に下りていくが、なんと!工事道が河原沿いに伸びているではないか!
これはラッキーと整地された工事道を歩いていくと、5階建てくらい石垣状に装飾された堰堤があり目を疑った。
更に続く工事道を歩き、二俣を過ぎると工事車両が何台も停めてあった。
工事道が寸断されていたが鉄板が渡してあり、渡渉する事なく通過できた。
工事道は左から南沢が入っても続き、結局、熊ノ平の取付まで続いていたので、1時間以上は短縮できた。
この工事道も、台風でもくれば、どんどん崩壊していき、バベルの塔を思わせる巨大堰堤を巻くにも苦労するだろう。
尾根に沿って付けられた踏跡を歩いていくが、新しい目印は多いし、踏跡も明確であった。
11時半には熊ノ平に着いてしまった。(熊ノ平といっても塩見と間ノ岳の稜線にある熊ノ平ではない)
熊ノ平には飯場が建てられていて、本谷に堰堤を造っていた。
今日は熊ノ平までの予定であったが、時間も早いので取水口で水を汲み上げて進む事にした。
吊橋を渡り、そこから尾根に上がる。
踏跡は比較的しっかりしていて、なぜだか電線がつながっていた。
先に進んだのはいいが、地図の通りに尾根は細く傾斜のきついのでテン場が少ない。
1700mを過ぎて傾斜がゆるくなっても、なかなか平らな場所が見つからない。
また傾斜が強くなる少し手前に、やっと少し平らな場所を見つけた。
石と枯れ木で土台を組んでスペースを広げて3〜4人テントを張った。
明日に備えて暗くなる前に寝てしまった。
<コースタイム>
夜叉神登山口(6:55)−(8:13)鷲住入口−発電所(9:35)−取付(11:03)−熊ノ平(11:30)−テン場(13:51)
5月3日(日) 晴れ
朝4時に起きて、卵かけご飯を食べて出発。
電線沿いにしっかりした踏み跡を歩いていくが、間もなく電線は尾根から外れていってしまった。
工事現場に上流での増水を知らせる装置でも設置しているのだろう。
電線がなくなると踏跡は消え、わずかにある獣道を拾いながら登っていく。
順調に高度を上げていくと2000mくらいからアイスバーンになっているためアイゼンをつける。
昨日のテン場より先は、2200mを越えて雪がしっかりつくまでは、テントを張れそうな所はなかった。
雪は少しずつ深くなり、時々、ひざ上まで沈み、股下まではまると精神的に疲れる。
2400m辺りから尾根は狭くなり、小ピークがいくつかありアップダウンの繰り返しで、藪も少々うるさい。
1箇所悪い所があり、雪の付き方ではロープが欲しいかもしれない。
ヤセ尾根が終わると森林限界となり、尾根が広くなり傾斜も穏やかになり一安心したのだが、
爪の跡もしっかり残る熊の足跡がいくつもあり怖かった。こんな上まで熊はやってくるのだな〜。
どんどん登っていくと、農鳥岳に向かう登山道と合流し、15分ほどで間ノ岳の山頂となった。
間ノ岳から北岳までは近くに見えたが、疲れた体に北岳山荘は遠く、ヘロヘロになって着いた。
北岳山荘は単独2人とあるき沢から歩いてきた1パーティーのみで暖かく快適だった。
今日も疲れていたので暗くなる前に寝てしまった。
<コースタイム>
テン場(5:38)−(13:25)間ノ岳−(15:10)北岳山荘
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5月4日(月) 曇り 時々 晴れ
天気が心配だったので今日も朝4時に起きて出発。
連休前の天気予報では今日の天気が悪いとの事であったが、天気は大丈夫そうであった。
雪はクラストして歩きやすいが、昨日の疲れが残って登りはきつい。
分岐に荷物をデポして北岳の山頂に向かう。
花粉症の後遺症でクシャミが止まらず寝不足の私は、山頂近くで軽い高度障害になり視界が狭くなってきた。
山頂を踏んですぐに引き返し、分岐で少し休んだら視界が元に戻った。
八本歯にはトラロープが沢山フィックスしてあった。
アップダウンを繰り返しボーコンの頭になる。今日は登ってくる人がたくさんいた。
ボーコンの頭から先は下りだけど、だんだん雪が腐ってくる。
トレースの上はボコボコして歩きづらいし、トレースがないとズボズボはまる。
それでも、トレースがしっかりあるので、特に考える事もなく下っていけるので非常に楽である。
池山小屋は綺麗で問題なく使える。
小屋を過ぎると雪は突然なくなり、フカフカの登山道になった。
登山道をどんどん下っていくとタラの木が密生している所があり、少しだけ晩御飯のおかずに収穫した。
鷲住山を登り返す体力は残っていなかったので、あるき沢橋から少し下った林道沿いで水を汲み、
雨が降っても濡れないように吊尾根トンネルの中にテントを張った。
荒川沿いの工事道があったり、天気にも恵まれ、4泊掛かると思っていたが3泊でここまで来たので2日の食事がある。
晩飯食べ放題で、ゆっくり宴会するつもりが、今日も明るいうちに寝てしまった。
<コースタイム>
北岳山荘(5:53)−北岳(7:19)−ボーコンの頭(9:32)−あるき沢橋(14:01)−(14:38)吊尾根トンネル
5月5日(火) 曇り
朝5時前に自然に目が覚めると、昨日の夕方から降っていた雨はやんでいた。
今日は、鷲住山の登り返しと、林道歩きだけだ。
一晩寝たので鷲住山の登りも苦痛ではなかった。伐採された斜面から尾無尾根が綺麗に見え、よく歩いたものだと思った。
夜叉神トンネルのシャッターが今日は開いていた。
「ゲートは通さない、トンネルを引き返して夜叉神峠を越えなさい。」と言われたら嫌だと思っていたが、
そこまで変な事は言う訳ないか!すぐにゲートを開けてくれた。
帰りに桃の木鉱泉に寄った。¥1,000と高めだが、10時半前で他にお客がいなかったのでお得な値段だった。
雨が降りだしたけど露天風呂も入り、満足のいく山行となった。
<コースタイム>
吊尾根トンネル(6:11)−鷲住入口(8:16)−夜叉神登山口(9:57)