八ヶ岳 (雪山:バリエーション)
広河原沢右又?〜阿弥陀南稜〜阿弥陀北東稜(仮称)〜御小屋尾根
2005.正月 安川(記) 田中
2005年正月、2泊3日で氷、雪稜、岩のバリエーションを堪能してきました。
1日目 : 広河原沢右又?(支流にクリスマスルンゼのある沢です。)
(晴れ強風) ピッチグレード4級〜阿弥陀南稜P3手前のテン場
雪がやや多かったため、お互いノーザイル・フリーソロで右股を駆け登りました。
60度ほどの滝に乗った中途半端な雪が微妙に怖かったです。
南稜の手前はブッシュの多い雪稜に入り、膝までのラッセルでした。
<写真は南稜に出たときの赤岳です。>
猛烈な風でデジカメと指が凍ってしまいましたので、これ以降、写真が取れませんでした。
2日目 : 阿弥陀南稜P3手前のテン場〜阿弥陀南稜ピッチグレード3級〜阿弥陀岳〜行者小屋
(吹雪)
南稜の核心P3は、まともに吹きつける偏西風の中で
1時間以上順番待ち(初心者の人が多かった)で、安川の凍傷が悪化しました。
フィックスロープにカラビナをかけて登りましたが、5mほどで前が詰まり、
外して二人ともフリーソロで追い越しました。
ここは初心者に中途半端にカラビナを掛け外して登らせるより、
ちゃんと確保して登らせたほうが早いし安全だと思います。
3日目 : 行者小屋〜阿弥陀北東稜(仮称)ピッチグレード5級〜御小屋尾根下降
(晴れ後吹雪)
安川の凍傷で阿弥陀北西稜はあきらめ、先行パーティーの多い北稜も興味がわかず、
ひょっとしたら初登が狙えるかもしれないという
北東稜(仮称。北稜の左側の壁のなかの目立つリッジ)に取り付きました。
好天の中、仰ぎ見ればヒマラヤひだの急傾斜の壁に何本ものルンゼが食い込み、
がっちり硬そうな岩が立ちはだかり、登攀欲をそそるのでした。
どこにルートを取ろうかと考え、ハート型の岩壁の右上に続くカンテに
可能性と面白さを見い出し、登りはじめました。
急傾斜の胸までのラッセルと、ほぼ垂直の雪壁の中のハイ松にダブルアックスで2ピッチ。
ハート型岩壁基部のブッシュに残置シュリンゲを発見。かなり古いものでした。
岩壁の手前で敗退し懸垂下降に使われたものと思います。
この岩壁はカンテ沿いはスラブになっているので右にトラバースしてクラック沿いに登りました。
クラックの下端にナッツとハーケンで万全のランナーを取り、攻略開始。
クラックに詰まった泥と草つきにイボイボを2箇所打ち込み、
10mの5級のクラックを登りきるとブッシュで安定したビレイ点が取れました。
素晴らしい高度感の中、すべて自分でルートを決めプロテクションをセットし
ダブルアックスで前人未到の岩壁を登る、
まさに「俺がやりたかったことはこれだーっ!」って感じのピッチでした。ははは。
記念にイボイボが一本残置されています。トホホ。
阿弥陀の登山道に出るまでさらに岩と雪のリッジから雪原を2ピッチ、
計5ピッチの全ピッチロープいっぱいいっぱいの登攀でした。
リッジを馬乗りで越えるような部分(4級)もあり、そこをリードした田中さんも満足のようでした。
オールつるべで登ったこともあり、なかなかシブイ山行になりました。
ちなみに凍傷は完治に一ヵ月半かかりました。