産女川(事故報告)

 

              200..16  田中夫妻&ぽち 岩間夫妻 (記録:岩間修)

                                                        

 

   甲府幕岩で知り合った東京都町田の「田中さん」のご夫婦と栗駒山の産女川に行く事になりました。

  秋雨前線と台風のため、いろいろ悩みましたが・・・・

    「田中さん」と言ってもピーンとこない人も、柴犬の「ぽち」と言えばわかる?

    ただいま作成中の「ぽちのホームページ」があります。「ぽち」の写真かわいいです。

              http://homepage2.nifty.com/pochi-climbing/

 

  9・16

   東北道の金成PAへ6:00に集合。

  コンビニで朝食・行動食を買って、真湯温泉の前から林道に入る。

  笊森避難小屋への登山口がある所でゲートが下りていていた。

   支度をしていると、車がぞくぞくやって来る。さすがに有名な渓だ。私達をいれて4パーティー。

  そのうち1組は、昨年のこの連休に大行沢で会った人達でした。

  また他の一組は、今年の7月に大常木であった人である。む〜なんで?

   林道を1時間20分歩いて、いよいよ入渓点に着く。さらに入るとナメとゴーロが交互に出てくる。

 

  そしてF1。ここで事件は起きました。

  「ぽち」は滝を登れないので、「ぽち」を上げるためにロープを出す事にしました。

   私は、滝の左側水流脇から上に行くラインがルートと読み、

  深く考えずにザックを背負ったまま取り付きました。(上からお助けロープを出すつもりでした)

  シャワーを浴びながら“思ったよりヌメッているな”思いながらも、

  掛かりの良いホールドを探しながら、登っていきました。

   中ほどのバンド上の所で立ち、“さて次は?”と見ると、右上にいい感じのガバが見えた。

 伸び気味にとると、指の第2関節まで全部掛かる。

 “よしよし”と力を掛けて立ち上がると、『ボコ』とホールドが欠けてしまった。

 そしてバランスが崩れた私は、落ちた。

  頭の中で“下は滝壷だが深くない!ヤバイ!”と思っているうちに右足から落ちた。

   右足が痛い。体重をかけられない。しかし、触ってみると足首は動くし、足首は押しても痛くない。

  過去の経験からしてみると骨折はなく、捻挫ぐらいか?

  この後、皆で滝上まであがるが、私の遡行は無理という事でここで引き返す事にする。

 

   ノコギリで木を切って杖を作り、荷物を3人で分ける。

  先にザックを置きに行き、空身で迎えに来るように田中さん夫妻は先に行く。

  私と典子で歩き始めるが、典子が背負ってくれると言う。

  無理だと思ったが、なんと背負ったまま歩きだした。20mほど行き、私を下ろし、ザックを取りに戻る。

  ザックを取りに戻る間は、私はケンケンで行くか・這って進んだ。

 

   2時間位たった頃、入れないはず林道を前から車が入って来た。

  田中さん達がゲートに着いた頃、ちょうどNPOの人達が見回りに来たみたいで

  ゲートの鍵を開けてもらい、車で迎えに来てくれたのだ。

  田中さんの車のメーターの読みでゲートから5km以上も来たようだ。

  とすると、2時間かけても私達2人では1kmも来られなかった訳だ。

  NPOの方が来なければ、日が暮れていたと思う。

 

  ポチ姉さんが段取りをテキパキとこなし、一ノ関の救急病院に行き、応急手当をしてもらう。

 ポチ姉さんはとても機転が利く人で、下山してからもすっかり助けられました。

  この日は宿をとり、次の日に帰って来ました。(これも大変でしたけど)

 

   幸い、滝の斜度もあまりなく、高さも5mの所から落ちたので、あお向けにならず、

  バンザイした状態で、お腹が岩についたまま滑り落ちるような感じだったので

  先に着地した右足を強打しただけで済みました。

  本当に、捻挫もなく、右足の打撲だけで済んだのはラッキーでした。

   (打撲だけと言っても、捻挫とは思えない痛さだったようです。ただ治りが早いだけです。みー猫より)

   又、偶然NPOの人達が来て、ゲートを開けてくれたのもラッキーでした。

  田中さん夫妻や典子には、本当に迷惑を掛けてしまいました。

  典子は、私を背負ったため筋肉痛で大変でした。

  

   来年は、田中さんには何とかイワナと焚火でお返ししたい。

 

 

 ** 事故の原因 **

 

   1.ヌメッていて悪いと思ったのに、ザックを下ろさなかった。

      −空身であればバランスを崩してもリカバーしやすい。―

 

   2.岩を登る時は浮石やホールドの崩壊を考えて、ホールドに完全に体重をかけずに足で立つ

     という事を忘れ、ガバという事だけで人口壁のように、いきなり体重をかけてしまった。

 

     以上、ここ数年でケガをしていなかったため、基本をおろそかにした。

 

 ** 教 訓 **

 

   優しいところで基本を忘れずに、

   次からはクラッシュパットを背負っていく(ウソ)

 

 

 

 

 

             内出血でむくんだ右足 ⇒

 

 

 

   みーの反省

    1.自分は最初から自分より思い人なんて背負えないと思っていたのですが、

      この調子では、10歩でも背負ったほうがまだ早いと思って背負ってみたら少し歩けた。

      わかっていれば、カラのザックを置いていってもらったはずです。

      ザックなしで背負うと、すぐにずり落ちてきて、ほとんど進めませんでした。

      いつでも男性が複数いて、余裕があって搬出できる訳ではないのです。

      男性が一人しかいない時や、距離が長くて交代して背負ったほうがいい時もあるはず。

      女性も回りの男性も、女性でも何ができるか分かっておくべきだと思いました。

    2.「滑落」といったら骨折か捻挫しか頭になかったし、見た目では出血もなかったが

      足の中で出血が凄く、血が止まらなかったとは考えもしなかった。

      出血が目にみえなくても、横たわって足を上げるなどの止血処理をした方がいいと思った。

 

 

   産女川のNPOの話し

    ゲートの鍵を開けてもらう時、穏やかなポチ兄さんでさえキレてしまうほどお叱りを受けたそうです。

    後で話しを聞いたらNPOの人達は悪い人でも新興宗教のような自然保護団体でもありません。

    この辺りは温泉が多く、産女川は大切な地元の水源だそうです。

    岩手県内ばかりではなく、山形や秋田などからも、この林道に不法投棄にやってきたりして

    ゴミだらけでどうしようもなかったそうです。飲み水を守るためですから。

    しかも産女川で事故があれば、このNPOの方達が救助に行きます。

 

 

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