白神山 追良瀬川〜ウズラ石沢 (沢登り)
2006.8.12〜15 岩間 田中 みー(記)
東北の沢に魅せられて青森まで行く事になったが、この東北ツアーは私には非常に辛かった。
車に長い時間乗ると全身が凝って辛くなかなか治らないので、下山後に少しでも南下したかったが、
強い希望に折れて白神温泉に泊まる事になり、これが辛い山行の始まりだった。
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五郎三郎沢の出合 |
少々深いが水流が弱いので大丈夫 |
今回は、中央道から八王子―圏央道―関越道に乗り日本海にでる。日本海に出るにはこれが一番早いようだ。
鳥海山あたりで仮眠をとり、1時間近くも林道を走り、11時半頃に追良瀬大橋に到着する。
8・12 曇り 時々 土砂降りと晴れ
今日は上空に寒気が入り、天気が不安定だ。
林道を歩きはじめると、すぐにアブの群れがやってくる。
「アブは先頭に歩く人に寄っていく」性質があると云うので試してみる。
確かにその通りで、先頭にはアブが群れているが、2人目はかなり減る。3人目は1・2匹しか寄って来ない。
林道を40分程歩き、堰堤は右側の踏み後から越えて河原におりる。
水量は少なく、川の水は少し臭い。
ウズラ石沢までは、高度差が200mもないので渡渉も問題なく進む。
右岸に水量は少ないが大きな滝があり、天狗の沢手前のゴルジュである事がわかる。
ゴルジュといっても、両側が切れたった穏やかな流れの中を歩く感じだ。
一ノ沢手前の右岸の小高い砂地にテントを張っているパーティーがいた。
右から顕著な一ノ沢がでてくる頃、雨が急に降り出し土砂降りとなる。
カッパを着たパーティーが雨宿りをしていたが、私達は防寒具のカッパを濡らしたくないとそのまま行く事にする。
30分程で雨は突然やんで日が差してきた。
間もなく泳がないと越えられない瀞が出てきたが、右岸の巻道を上がり、20mのお助けロープで懸垂で下りる。
ここからテン場を探しながら歩き、2・30分歩いた所の左岸の小高い広い河原に泊まる事にした。
テン場の近くにはシリノガモらしきカモの家族がいた。
もう3時も裕に過ぎているので、岩魚はあきらめ、焚火に専念する事にした。
焚火に火をつけたら、また突然土砂降りになったので焚火に新聞をかぶせておく。
30分くらいで突然雨がやみ、新聞の下で消えなかった焚火で服を乾かす。
朝夕はヤブ蚊がとても多い。電池式蚊取り線香を持っていったので、テントの中は快適だった。
追良瀬大橋(0:40)堰堤先の河原(2:30)岩滝先のテン場
8・13 晴れ 時々 曇り
朝から竿を出すと34cmの岩魚が釣れた。
朝は出発まで3時間半もゆっくりするが、ヤブ蚊が多く、のんびりした気があまりしない。
二ノ沢先のゴルジュは肩までの水で、泳がないでも通過できた。
沢を歩いていると、正面に五郎三郎沢の滝が見える。これは見落とす事はありえない。
左岸に広いビバーク適地があり、十張以上はテントが張れる。
三ノ沢を過ぎた大きな釜は、田中君は左から高巻くがヤブ蚊の襲撃に遇う。
私達は釜の淵のスタンスを探しながら胸まで浸かって過ぎ、ここから竿を出す。
岩魚は簡単に釣れ、レギュラーサイズは7〜8寸。
滝ノ沢の少し手前の右岸には、言われれば人面滝かと思う大きな水量の少ない滝があった。
ウズラ石沢の5分くらい手前の左岸に砂地のいいビバーク適地があったが、
ウズラ石沢を過ぎた本流に入り、ビバーク適地を探す。
こちらには快適なテン場はなく、10分程行った所で少し整地して泊まる事にした。
今日は1時前に行動をやめたので、アブがすごい。3時くらいまで行動した方がアブが寄って来なくていいかも。
白神ではガツガツ歩かないで、のんびり河原で・・・と言うが
この時期に、河原で寝そべっていたらアブとヤブ蚊の格好の餌食になり耐えられない。
本流は平瀬が続き、岩魚は瀬尻にでている。竿を出そうと近づくと逃げてしまう。
ウズラ石沢の方が深い落込みが多いので釣りやすいだろう。
岩滝先のテン場(1:30)五郎三郎沢(1:00)滝の沢(1:50)ウヅラ石沢
(0:10)本流テン場
8・14 晴れ
今朝も、岩魚を釣ってカバ焼きを作ったりと、のんびりと3時間過ごし8時に出発。
今日は、昨日までの200mくらいしか高度差のない川と違って700m位登る。
しばらく行くとゴルジュっぽくなっているが、雪や水流の削られた岩の形が面白い。
大きな釜を持った滝が出てくるが少し悪い右壁をへつる。
すぐ先のゴルジュで高巻くが、フィックスが張ってあり興ざめである。
何度か来るガイドがつけたのだろうか?
あきらかに次に来るためにつけてある。
出だしが悪いので、岩間が先に行きロープを出してもらう。荷物がなければ私でもフリーでいけそうだ。
下降にもロープが縛りつけられていたが、結び目のコケが生えていたのでロープを出し懸垂。
田中君は水線通しに来た。その後の小滝は問題なく越えて行ける。
ゴルジュを過ぎると沢より3mくらい高い所にテント1張の広さのネコの額河原があった。
このあたりまで来るとアブはずいぶん少なくなる。
ネコの額河原を過ぎても形の良い岩魚がいる。
標高850mくらいで水は無くなりツメになる。ここから何度も地図を出し確認しながら行くが
水場に出られず、ヤブ漕ぎとなる。左左と行ってしまったため白神岳の南側の尾根に出た。
古いトポには白神岳の南側の尾根に踏後ありとあったので、稜線までヤブ漕ぎしても大した事がないだろうと
笹のトンネルの二俣で地図をきちんと確認しなくて左に行ってしまったのが誤りだったのか?
実際は踏後がなく白神山頂まで立派な根曲がりを40分ほど漕ぐ。竹の子の季節に来たいものだ。
小屋は3階になっている。トイレは建物だけが妙に立派で変だ。
まだ1時半と早く下山も可能だが、涼しく虫のいない避難小屋で過ごす事にした。
水場は小屋と山頂の間から5分程。
本流のテン場(1:50)ネコの額河原(3:40)白神山頂避難小屋
8・15 曇り
今朝もゆっくりする予定だったが、避難小屋には何パーティーもいて目が覚めてしまい6時に出発。
9時半頃に駅に着くが、9時7分に列車は行ったばかりでタクシーを呼ぶ事にした。
駅前の公衆電話は壊れて使えず、近くのお店で電話してもらう。酒屋ではないが店の奥にビールが置いてある。
タクシー代は、白神登山口の駅から追良瀬大橋まで1万2千円。
宿に戻る予定だったか、弘前経由で帰りたいと話がでて、ここからが辛い。
「白神ライン」と名前だけは良いが、数10K以上/4時間にもわたるダートの山道で
世界遺産指定区域の縁にそってクネクネと山の中を走っているだけであり、
弘前寄りに道の駅のような巨大建築物があるだけである。
山の中の生態系はすばらしいだろうが、それを垣間見る事はない。
新緑や紅葉の時期はきれいだろうが、何時間もダートを走り続けたら紅葉どころでは無くなってしまう。
世界遺産と云う事で予想以上の交通量だが、もう一度来たいと思う人はいないだろうし、
殆どの女子供には苦痛だろうし、幼い子がいる場合は「白神ライン」は絶対やめたほうがいい。
私も特に車酔いがある訳ではないが、今回ばかりはどうにもならない辛さだった。
ゆっくり一日掛かりで「白神ライン」を走れば、また違う感じがしただろうか?
酔止めの薬に過敏症があり、副作用が強いので薬は簡単には飲めず本当に辛かった。
車に乗るのは限界となり、車は田中君に任せ、鯵ヶ沢から十二湖まで列車で戻る事にした。
「白神ライン」を走ってみたい場合は、景色はどこまで行っても同じなので途中で引き返すのが懸命だ。
ダートを走りたい人を省けば・・・・
ドライブであれば海沿いを北上する方が、景勝地も多く海の幸も豊富で楽しいだろう。
夕方5時半を過ぎて、やっと「静観荘」に着く。
料理はすごい。さざえ・うに・あわび・・・量が半端ではないが、体調がイマイチで勿体なかった。
海沿いの民宿なのに、部屋やお風呂にアブがいたので驚いた。
翌日は、私だけは新幹線で帰ろうかと思ったが指定席は取れないので
酔止めを飲んで車で帰ったが、副作用に悩まされ、2日間も長時間に車に乗り身体の痛さは取れない。
17日は会社に行くが、積み上げられた書類には急ぎの物はなく、誰もいなかったので
イスを並べて一日休ませてもらった。(18日もだけど・・・)こんな会社で良かった。
本当に白神にはウンザリ
5日間も家を留守にしたら、みー猫が家出をして帰って来なかった。
翌日の夕方にすごい怖い顔をして「ニャーニャー」鳴きながら帰って来たが、甘えん坊猫になっていた。
お土産に「またたびの枝」を買って帰ったのだけれど、昨日から「またたび」の二日酔いで寝ている。ごめんね。
白神山頂避難小屋(2:40)白神山登山口(0:50)白神登山口駅