葛根田川滝ノ又沢〜八瀬ノ沢(下降)

大深沢本流〜関東沢〜明通沢左支流(下降)

 

 

 

2012年8月12日〜15日

 

岩間、田中、戸島  みー(記)

 

 

11日(土)の夜8時半に竜王役場に集合する。

東北道の渋滞を避け、佐久経由で関越道に入り、日本海沿いに北上する。

本荘を経て協和の道の駅に早朝に到着する。協和の道の駅には雑魚寝スペースがあり、既にお休み中の一人と混じって仮眠をとる。

渋滞の中を東北道で北上するのと、日本海を北上するのはどちらが早いかは定かではないが、トイレや給油のためにS.Aに入る労力はいらない。

仮眠後に車を走らせ、田沢湖駅前の食堂で朝御飯を食べる。駅には「クニマス」のポスターが張ってあり、こんなに走ったのに山梨から出ていない気がする。

秋田の地酒を買って、雫石から滝ノ上温泉に行った。

 

 8月12日(日) 晴れ 時々 曇り

滝ノ上温泉の駐車場に車を停めて、地熱発電所沿いの林道を歩いていく。

舗装が切れた少し先から、葛根田川に下りる。ここ何日も雨が降っていないため水量は少ない。

まるで河口のように水流の弱い穏やかな流れの中を歩いていくと、右から明通沢が流れ込む。

写真でよく見るお函を通過していくと大石沢の出合となる。

今日は、前日の睡眠不足もあるため、大石沢の出合で泊る。

元気な2人は釣りに行き、刺身サイズのイワナを数匹釣ってきた。

雨が降っても焚火ができるようにタープも万全に張ったが、この夜は雨に降られずに終わった。

 

<コースタイム>

 滝の上温泉(11:05)−(11:41)入渓―(12:25)明通沢出合―(14:05)大石沢出合

 

 

 8月13日(月) 曇り 後ち 雨

 目が覚めると、雲は薄くて高い。この天気が一日持てば・・・と思いながら出発。

沼ノ沢、中ノ沢と過ぎていくと、目の前に葛根田大滝が現れる。踏跡を辿って右から巻く。

沢が左に曲がると、滝ノ又沢と北ノ又沢の二俣となり、左の滝ノ又沢に入る。

滝ノ又沢に入ると、すぐに小滝の連続となり、最初の小滝は荷揚げをして登る。それ以外の小滝は快適に越えていく。

小滝群が終わると水量の少ない平瀬になり、歩く毎にイワナが逃げ惑う。

パニックで飛び跳ねて自ら川岸に上がってしまって身動きとれなくなってしまうイワナもいる。

「昔は針に餌を付けようとしているとイワナが餌に飛び掛かってきたので、隠して餌をつけた。」と言う話を大笑いしてしまったが、本当かもしれないと思ってしまうほどのイワナの数であった。

岩の下に逃げたイワナの尻尾を掴んで捕まえたりしながら、なんと癒される時間だろうと進んでいく。

暫くはイワナが逃げ惑うチャラ瀬が続き、15m滝が現れる。

15m滝は直登できずに左から巻く。

踏跡っぽいところを落口の高さまで登る。大高巻きを避け、泥壁を田中社長がロープを引いて落口に向かってトラバースを開始する。

この頃から、イワナを苛めた崇りで、雨が降り出して本降りとなった。

潅木が乏しい泥壁トラバースであるうえに雨が降り出し、足元はヌルヌルの泥のトラバースとなった。後続はフィックスで通過する。

 雨は時々弱まるが、なかなか止む気配はないが、この後は滝もない沢でどんどん詰めていく。

稜線は風が強く、木が風でうねっている。

大した藪もなく稜線に抜け、八瀬ノ沢を下降する予定を変更し、八瀬森山荘に逃げ込む事にした。

雨は降ったり止んだりを繰返す中、八瀬森を越えて山荘まで歩いた。

 八瀬森山荘は、雨で予定を変更した人達で混み合っていて落ち着かないが、びしょ濡れになった服を着替えるとやっぱり小屋はありがたい。

夕方は雨が止んでいる時間の方が長くて、こんなに混んでいるなら下れば良かったかな?と思ったが、夜中に豪雨となった。

朝3時半に起床予定だったパーティーの目覚ましがあるが、少し雨が降っていたので、目覚ましを止めてまた寝ていた。

 

<コースタイム>

 大石沢出合(6:50)−(7:15)中ノ沢出合―(8:26)滝ノ又沢出合―(12:34)登山道―(13:40)八瀬森山荘

 

 

 8月14日(火) 曇り 後ち 晴れ

 朝5時に目を覚ますと、薄く青空が覗いていた。

八瀬沢を下降するか、予定を変更して関東沢を下降するか?話し合いになった。

予定通り八瀬ノ沢を下降した場合、大深沢本流の増水と八瀬森を再度登り返さないといけないという問題があったが、多数決で八瀬ノ沢を下降する事になった。

八瀬森を登り返し登山道が西に曲がるところから下降を開始する。

下降を始めてすぐに沢形が現れ、ナメ状となって下降しやすい。

小滝が現れるが、一度だけ補助ロープを使って下るが、それ以外はロープなしで下っていく。

八瀬ノ沢も随分と上から魚影が見られる。

一時間程で滝ノ又沢から直接下降した場合に下る沢との二俣となり、ナメは少なくなる。

ゴーロがほとんどの沢であるが、時々、大きくえぐられて美しい滝を持った岩床やゴルジュが現れ、目を楽しませてくれる。

上流部の2段の滝で懸垂したが、それ以外はロープの必要なかった。

早朝までの雨で、沢の水はタンニンで黄色に濁ったままであったが、水量が徐々に減っていくのがわかる。

滝ノ沢を見落としたせいもあり、やけに長く感じた八瀬ノ沢であった。

大深沢と合流するが、大深沢の水もタンニンで濁っているが、渡渉に少し気を使う程度で問題なかった。

本流に入るとすぐにモアイ像のような岩が現れ、ナメも現れ、水量が豊富な本流はいい雰囲気で、時々、足元をイワナが泳いでいく。

ゴルジュの中の滝は、瀑流でとても登れないので左から巻く。大きな淵は左をへつる。

川幅いっぱいに広がるナイアガラのような滝は、左の2条の滝を登る。

 その先は荒れた河原が続くが、右岸のスラブにシルクのカーテンのように流れるナメ滝が流れ落ちていて幻想的である。

沢がなんとなく綺麗になってくると障子倉沢となる。

昨日の悪天で予定通り進めず、今日はどこまでいけるか心配であったが、ここまでくれば目処が立ったので、のんびりムードになる。

関東沢出合には、2日目にあった2人組がお昼ご飯の支度をしていた。

上流部で竿を出したので、下から釣り上がらないと釣れないかもと教えてくれた。

竿を出しながら関東沢を登り、右岸の小高い砂地に泊る事にし、元気な2人はテン場の準備が終わってから釣りにいった。

関東沢のイワナはあまり型が良くなかったが、塩焼きを1匹ずつと、3枚におろして蒲焼やムニエルを作った。

特に蒲焼は美味しくて、うなぎの蒲焼より美味しかった。

 

<コースタイム>

 八瀬森山荘(6:45)−(7:14)下降開始−(11:20)大深沢―(13:25)障子倉沢―(14:20)関東沢―釣りーテン場(15:10)

 

 

 8月15日(火) 晴れ 時々 曇り

天気の心配もない爽やかな朝となった。

当初は関東沢の左俣を登ってみようという話もあったが、二日目の雨で予定より進めなかったため、最短の八瀬森山荘に出る沢を登る事にした。

以前、下降した時には気付かなかったが、関東沢はナメが続く綺麗な沢であった。

下流部は赤いナメに上に行くと灰色のナメが続く。数年前に来た時より大きな魚影は見られなかったが魚影は濃い。

ナメの間にいるイワナの水中写真を撮ったりしながら穏やかなナメを登っていく。

最初の二俣にはいいテン場があった。その二俣を右に、奥の二俣も右にいくと、少しずつ藪っぽくなり八瀬森山荘脇の湿原に出た。

湿原で一休みした後に登山道を東に進み、大白森湿原脇から明通沢の左支流に下る事にした。

社長の話では藪漕ぎなしでロープもいらず、ルンルンに下れる沢だったとの事。

湿原脇から下降を始めるが、傾斜が緩すぎて沢形が現れない。

密藪のネマガリ漕ぎで下っていくと、目下に大白森湿原が広がり一瞬感動するが、すぐにネマガリ漕ぎに戻る。

方向を南東にとって更にネマガリを漕いでいく。40分近く漕いで沢形が現れる。

暫くは歩きにくいガレた沢であるが、途中からナメが現れ喜ぶが、滝がいくつも現れ懸垂を強いられる。

 美しい沢の中に次々に現れる小滝。大滝が現れた時は驚いた。50mロープを折り返して下まで届くか心配であったが、大丈夫であった。

懸垂5回で、やっと本流に合流。

本流との合流地点は、両俣ともナメとエメラルドグリーンの釜が連続する沢が合流し、とても綺麗だ。

社長は「前回は、本流を忠実に下ったのかもしれない。」と言い出した。

―後日、社長と一緒に行った人に話しを聞いたところ、下り始めた場所は今回と同じで、方向もわからなくなるような酷い藪漕ぎで大白森湿原に下り、湿原の端から明通川に下りた。2・3回懸垂をしたが、短時間で快適に下りられたとの事であった。藪漕ぎ・懸垂なしはガセネタであった。―

 この沢は非常に美しい沢であるが、魚影は全く見られなかった。

橋が架かるところで沢から上がり、元林道を歩いていく。足元には草はないが、両側から藪に覆われ歩きにくい。

地熱発電所がだんだん近づいて、やっと林道に下りるとアブ達が寄ってきた。

駐車場まで戻り、温泉に入って、盛岡で焼肉・冷麺を体験して協和の道の駅で寝た。

 

<コースタイム>

 テン場(7:10)−(9:16)登山道―(11:18)下降開始―(14:10)本流合流―(15:23)元林道の橋―(17:25)駐車場

 

 

 8月16日(水)

 今日は日本海沿いに帰るだけであるが、東北ツアーはまだまだ終わらない。

まずは、笹川流れの少し手前で、社長に運転をお願いして岩ガキとサザエを食べながらビールを飲む。

岩ガキやサザエを買うと、その場で捌いてくれて焼いてもくれる。生ガキ・焼きガキ・サザエのつぼ焼きを食べる。

 今度は高速に乗るために村上の町を走っていたら、鮭がいっぱいぶら下がっている鮭屋を発見。

買い物をして、となりの食事処で鮭の親子丼(イクラと鮭のサシミ)セットを食べて、2人は日本酒を飲みだす。

それ以降は、小布施で栗おこわを買うだけで山梨まで戻るが、寄り道ばかりしていたため、須玉から渋滞に巻き込まれる。

今日は韮崎の花火大会なので高速を下りても渋滞なので、そのまま高速に乗り、成田から帰ったばかりに吉田さんに双葉のS.Aに迎えにきてもらい解散となる。

 5つの沢をつなぎ、日本海の幸を満喫する楽しい夏休みであった。

 

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