鋸岳~甲斐駒ケ岳

 

 

5/1(土)~4(火)

 

 岩間  みー(記)

 

        

 5月1日(土) 晴れ

朝4時半に起きて、伊那経由で戸台に向かう予定であったが、

岡谷JC先で故障したトラックのせいで渋滞が20Kもあったので、諏訪で下りて、長い杖立峠を越えて戸台に向かう。

林道を「戸台」に向かってどんどん入っていき、小さくて見落としそうな登山口の看板に沿って右に曲がると、

河原にある戸台の登山口に着く。登山口には数台の車が停まっていた。

 

 登山口から暫くは工事道が残っている。所々、寸断されたブル道を歩いていくと立派な堰堤があり、

もう一つ堰堤を越えると、登山道は左岸に移る。

登山道は大雨の度に崩れていくようで、ここから先はブル道もなく、ゴーロ歩きが大半だ。

長いゴーロ歩きの末、やっと角兵衛沢出合となった。

出合には標識、対岸にはピンクがいくつも付けられていた。

ここで本流を渡ろうとしたら、2日前の雨のせいか水量が多くて、

飛石伝いに渡れない。

見渡しても渡れそうなところがないので、

靴を脱いで、ズボンの裾を捲って渡渉する。

雪代の入った水は冷たく、渡り終わる頃には痺れるほどであったが、

靴下を履くとポーっと温まってきた。

途中で一緒になった別パーティーに聞いたら、

2・30m遡った所で飛石伝いに渡れたそうだ。

 角兵衛沢の出だしは樹林帯の中を歩いていくが、暫くするとガレとなる。

話には聞いていたガレではあるが、予想以上に苦痛なガレであった。

大岩は、水もありテントがいくつも張れるが、明日の工程を考えると、やはり角兵衛沢のコルまで行きたい。

雪が少なそうであったので、大岩から水を汲み上げる事にした。この先もひたすら最悪なガレが続く。

今日は2人パーティー×3組が角兵衛沢のコル泊まり。

「上手に譲りあってテントを3つ張れるようにしたいですね。」と話し合いながら登っていったが、

譲るも譲らないも、コルには雪も少ないため、土木工事もできず、2張しかテントを張れる場所がなかった。

最後に着いたパーティーは、登山道上にテントがはみだした状態で泊まる事となった。

 テントが煽られる強い風の中、晩御飯のホイコーローを食べると、とても眠くなって18時には寝てしまった。

 

<コースタイム>

  戸台(:00)- 角兵衛沢出合(:35)- 大岩(12:25)-角兵衛沢コル(14:39)

 

 

 5月2日(日) 晴れ

昨夜は早く寝たので、4時半頃には自然に目が覚めた。

強風も幾分収まっていたが、上下ともカッパを着る。

昨日あたり歩いた一人の足跡が残っており、単独で縦走しているようだ。

昨日、ガレを下山してきた男性が、「コルから第一高点にいく道が、ツルツルに凍っていたので引き返してきた」と

言っていたので、最初からハーネス・アイゼン・ピッケルを身に付け出発。

男性が言っていた通り、ツルツルの氷の上に、薄っすらと雪がかぶっている箇所が何度も出てくる。

荷物が重くてバランスが悪いので、ピッケルを打ち込んで、アイゼンをしっかり蹴って登っていくと第一高点。

 第一高点からの下りは雪がないので、岩の上をガリガリ歩き、小ギャップではプルージックを付けて懸垂で下りる。

登り返しは、ホールド・スタンスとも豊富なので、鎖を使いながら登って稜線に出る。

 ここから鹿の窓までがトラバースとなるが、まず、岩間が偵察にいく。

信州側に回りこんで、クライムダウンで一段下りて、見た目ほど悪くない雪の急斜面をトラバースして鹿の窓に。

雪も少なくがっちりクラストしているので、鹿の窓から夏道通り下りる。

50mロープ1本を折り返し懸垂するが、ピンクテープは更に下に続いているので、

「こんなに下ってしまっていいのだろうか?いったい何処で対岸を登り返すのだろう?」と非常に不安になる。

更に下っていくと、対岸に人の足跡が見えた。これでもか!という程下り、斜面をトラバースし対岸に渡る。

今日は非常に雪が締まっているから歩けるけれど、冬は雪崩が怖くて通れない道である。

アイゼンがよく利く急斜面をゼイゼイいいながら登り(ガレよりはいいけれど)右の小尾根に出て、更に登っていく。

後続パーティーは夏道に下りず、そのまま稜線を進んでおり、お互いに手を振り合った。

もう1パーティーは雪の状態が悪いので、第一高点で引き返したようだ。

そのまま稜線に出ようとしたが藪が酷いので、左にトラバースをして、最後のガレを登ると第2高点となる。

 中ノ川乗越への下りは、アイゼンをギシギシいわせながら歩く事にうんざりしてきたので、アイゼンを外して下りる。

一直線に下るガレが近づくと、やっぱり凍った雪が出てきてしまい、アイゼンをはく。

ガレは雪が残ったところを狙ってバックステップで下り、中ノ川乗越となる。

 この先はアップダウンを繰り返しながら、三ツ頭に向かう。

熊穴ノ頭から三ツ頭までの間は、穏やかな稜線で、テン場には不自由しない。

三ツ頭から先は、一昨年前の年末に日向八丁尾根から縦走したので、勝手知っている道であるが、

雪の付き方が、年末より悪くて快適に歩けない。

 今日は、6合石室泊まり。早めに着いたので、干し物をしながら、ゆっくり水を作った。

カシューナッツと鶏肉炒めを食べて、カレーも食べてしまうと、やる事もなく、今日も19時頃に寝てしまった。

 

<コースタイム>

  角兵衛沢コル(:47)-第1高点(:17)-第2高点(:53)-三つ頭(12:17)-6合石室(13:27)

 

第1高点

第2高点

熊穴沢の頭

 

 5月3日(月) 晴れ

今日も、4時半頃には自然に目が覚め、スパゲティーを食べて出発。

風もなく穏やかそうであったが、稜線に出るとやっぱり風がある。

雪が少なく岩が出ているため、今日もアイゼンをガリガリ言わせての歩き始めとなり、年末よりも歩きにくい。

岩は出ているし、雪はクラストし、凍っているところもあるので、なかなか気を使う。

鎖場は、年末は雪がついて左の窪みを登れたが、今回は雪が全くない。

私の力では、この荷物を背負ってゴボウで登れない。岩間がゴボウで登り、上からロープを出してもらった。

この先は、ほとんど雪で覆われているが、クラストした斜面を登っていくので少し緊張する。

偽ピークが次から次へと現れ、やっと甲斐駒ケ岳となる。

 北沢峠への下りも雪は少ないが、凍っている雪が残っているのでアイゼンは外せない。

樹林帯が近づくと、やっと雪が安定して積っていて歩きやすくなった。

駒津嶺でビールを飲んでいる人を見たら、ビールの事しか頭になくなってしまった。

できるだけ下るつもりだったけど、腰に負担がくる下りでもあり、早々に北沢峠にテントを張った。

北沢峠はとても暖かく、テントの外でのんびり食べては飲んで、寝転んでを繰返していたが、

今日もやる事がなくなって19時前に寝た。

 

<コースタイム>

  6合石室(:57)-甲斐駒ケ岳(:51)-北沢峠(13:25)

 

 5月4日(火) 晴れ

今日も、4時半頃には自然に目が覚めた。毎日9時間以上寝ているのだから目が覚めて当然。

ほとんどの人は、南アルプス林道途中の歌宿バス停に行くようだ。

北沢峠から大平小屋に下る道もガチガチに凍っているので、アイゼンをつけてガチガチ下る。

雪がなくなると、八丁坂のジグザクの下りになり、丹渓山荘跡に出て、河原に下りる。

 ここからまたゴーロ歩きで、気が重い。

途中で、タラの芽を見つけて、だんぜん元気が出て、太いタラの芽だけ選んで採っていたので、

更にゴーロ歩きの時間が長くなり、登山口に着く頃にはホントうんざり辛かった。

 

今回の山行は、よく食べ、よく眠り、ゴーロとガレ、岩稜と凍った雪でアイゼンが減る山行だ。

 

<コースタイム>

  北沢峠(:05) (:50)丹渓山荘跡-戸台(10:38)

 

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