赤牛岳

                                                    

 

<山行日>  2011.10.10〜12

<メンバー> M本 単独                             

<コース> 1日目:七倉〜烏帽子小屋〜水晶小屋〜雲ノ平(泊)

       2日目:雲ノ平〜水晶小屋〜赤牛岳〜水晶小屋〜湯俣(泊)

       3日目:湯俣〜七倉

   夏に薬師岳へ行った時から赤牛岳にも行こうと思っていた。

シルバーウイークに行く予定であったが、4年ぶりに患った通風の

ため歩行困難となり、回復を待つとこんな時期になっていた。

一泊だとコースが限られてしまうが、二泊すると色々なコース

が考えられ、七倉から登り読売新道を下る周遊を選んだ。

しかし、読売新道は通行不可らしく、湯俣経由で帰ってくるこ

とになった。

                                                         赤牛岳山頂

1日目

3:15   七倉駐車場を出発

駐車場は手前のほうから車がビッシリで驚いたが、奥のほうには余裕があった。 私は長距離運転のためこんな時間に出発するのだが、他にも出発の準備をしている人がいた。

8:10   烏帽子小屋

      東電管理道路のトンネル内は風が吹き抜けて寒い。 こんな所で寒いのだから稜線はどんなに寒いのか心配だ。 ブナ立尾根は去年も歩いているが、濁沢横断の仮橋が立派な石橋に変っていた。

山道の入口で後ろから迫ってきたヘッデンに先を譲ると、身軽な青年はどんどん登ってゆき、野口五郎岳を日帰りする勢いだった。 明るくなると下山してくる大勢の年配者とすれ違う。

烏帽子小屋は皆が帰った後の静けさで、キャンプ場もテントが一張りあるのみだった。

11:15  真砂岳分岐点 

去年歩いた裏銀座は大雨で何も見えず、どんな所にいるの

かもわからなかったが、今日は好天に恵まれ素晴らしい眺

めとなった。 稜線の風はとても強く冷たい。 ウインドブレ

ーカーのフードを被っているが、鼻は冷たくて霜焼けしそう

だ。 目指す赤牛岳は目の前で、薄茶色の山肌が一風変

わっていて興味を引く。 野口五郎小屋は今期の営業を終

わり、強風にさらされている。 野口五郎岳山頂の眺めも素

晴らしいが、風が強くてとても長居はできない。 これまで稜

線で見かけた人は5人で、当然ながら少ない。

分岐点を11時通過の予定だったが、出発の15分遅れを引き

ずりながらも想定通りの8時間で通過できた。

12:10  東沢乗越 〜12:30

      風がなく日当たりも良いのでお昼休みに適していた。                 10/10/9:33

13:10  水晶子屋

東沢乗越から水晶小屋までの登り道には雪があり、30mほど危険なトラバースがあった。 水晶小屋も今期の営業を終了しており、人っ子ひとりいない。 ここに泊れば楽なのだが、キャンプ禁止を守り三俣か雲ノ平に泊らなければならない。 三俣には去年泊ったので少し遠いようだが雲ノ平へ行くことにする。

14:30  祖父岳

岩苔乗越で休む女性二人と、その先で単独青年とすれ違う。 青年は「久しぶりに人を見た」と喜んでいた。

祖父岳への登り道は泥や雪が多くて歩きずらい。 山頂は広くて展望も素晴らしく、特に濃緑/灰ツートンの鷲羽岳、ワリモ岳が美しい。 雲ノ平への下り道は岩場が多く、疲れた膝に応える。 

15:30  雲ノ平 雷岩

      三俣分岐点まで下るとキャンプ場はすぐそこだが、入口が反対側なので迂回路を随分歩かなければならない。 木道が主ですごい遠回りの上、背の高いハイマツが荷物に引っ掛かり煩い。 途中にスイス庭園の標示があり立ち寄るが、他の庭園の標示はその後目につかなかった。 ようやく雷岩とやらにたどり着くが、受付は更に反対側に10分以上歩いた山荘まで行かなければならない。 ここで読売新道の話となり、崩壊で引き返してきた人がいたとのこと。 明日の黒部湖への下山は取止めて、水晶岳から赤牛岳を往復した後に湯俣へ下山することにした。 明日も早起きで長距離運転になりそうだ。

16:00  雲ノ平キャンプ場

      雲ノ平は風もなく心地よい草原だが、やはり季節はずれで寂しい。 キャンプ場には他のテントが3張りあるが、皆静かに過ごしている。 夕方になると結構寒くなり、夕日を撮った後はテントに引きこもる。 満月に近い明るい夜だった。

 

2日目

3:50   雲ノ平を出発

朝のテント内の温度は-0.5度でフライシートは凍っていた。 星が綺麗で今日も天気がよさそうだ。

霜の付いた木道は滑るので慎重に歩かざるを得ない。 高天原経由で温泉沢の頭へ行きたいところだが、夜道を歩くため無難に来た道を引き返す。 それでも祖父岳への登りでは、岩場の白いペンキマークが雪に紛れて方向がわからず苦労した。

6:20   水晶小屋 〜6:30

      雲ノ平から2時間半。 三俣山荘からは2時間20分だったので、こちらのほうが少し時間がかかるようだ。

 大きな荷物を軒下に置かせてもらい、赤牛岳の往復に出かける。 この時間の水晶岳辺りは霧があり、景色を楽しむことはできない。

7:30   温泉沢の頭

水晶岳からここまでの道は少し険しく、後は快適な稜線歩きといった感じだ。 時間がたつにつれ霧がなくなり視界が開けてくる。 雲ノ平からここまで3時間40分、高天原を回ったほうが速かったのかもしれない。

8:45   赤牛岳 〜9:00

      昨日と同様に稜線の風は強く冷たいが、期待通りのすばら

しい雰囲気だ。 しかし風のない箇所は日差しも強く暑いた

め、ウインドブレーカーを着たり脱いだりで余計な時間がか

かる。 左に薬師岳、正面に立山を見ながら、しばらく快適

な空中散歩を楽しむ。 山頂には10mくらいの間隔で付けら

れた赤ペンキに、ここを歩けとばかりに誘導されて到着する。

やや霞んでいるが快晴の空の下、360度の素晴らしい展望

を得られた。 これまで回りの山々を歩き、最後に残った厄

介者が赤牛岳だ。 これで北アルプスのピークハントもひと

段落した。

11:35  水晶子屋 〜11:50

赤牛岳からの帰りに三人とすれ違う。 そのうち一人は私と

同様に赤牛岳ピストンのようだ。 小屋に戻って風のない場

所で日向ぼっこをする。                                    10/11/8:21

13:15  真砂岳分岐点

      13時に通過の予定だったが少し遅れて到着。 あとは竹村新道をのんびり下るだけとなった。

 尾根を下るにつれ寒さに慣れた体が暑さを感じる。 展望は十分味わったので南真砂岳のピークは踏まずに通過する。 湯俣岳への登り返しが相当あるため鞍部でのビバークも考えたが、温泉を楽しみに頑張って登る。 湯俣岳は樹林内の狭いピークでタッチするのみ。 ここから展望台1,640mまでは歩きやすい道だが、焦りもありとても長く感じる。 展望台から見る湯俣川の水の色は薄青でとても綺麗だ。 最後の急坂も長く感じるが、ここを頑張って下ると湯俣に到着する。

17:00  湯俣晴嵐荘

小屋泊りは東電関係者以外の客はなく、テントも私だけだ。 向うの山では録音のような犬と猿の声が聞こえ、

だだっ広い河原には鹿の姿が見える。 野生動物に囲まれそうで夜がちょっと恐い。

テントを張った後、目の前にある無料の露天風呂に入る。 少し温めに調節されており、ゆっくりと浸かることが

できる。 薄青く見えるお湯で硫黄の匂いが心地よい。 動くと大きな藻が浮いてくるが、すぐに消えるので気

にしない。 薄暗くなるまで入っていると、横の方で何かが段々増えていくような気がするのでよ〜く見ると、猿

が数匹集まって私の入浴を見ている。 お湯を飛ばしても逃げることはなく、顔にかかったお湯を手で拭くだけ

だ。 順番を待っているのかと思ったが、私が上がると彼らも帰っていった。 そしてこの日も明るい夜だった。

 

3日目

8:00   湯俣を出発

        5時に起き、全ての片付けを終えてから朝湯に入る。 今日もいい天気だ。 八時近くになると宿泊者が小屋から出てきて、こっぱずかしいので私も風呂から上がる。 今日はゆっくりできるのだが、温泉には十分浸かったので噴湯丘に行く気にもならず下山する。

 高瀬ダムへの道の対岸には綺麗な紅葉が見られる。 15人前後の団体とすれ違うが、林道終点にバスが止まっているのでここまで乗ってきたようだ。これあり?  高瀬トンネルは節電のためか数分間隔で照明が消え、真っ暗で冷たい風の中を歩くのはとても不安だ。 その中を走ってくるダム関係車両は、すれ違う時に皆スピードを落としてくれるので親切だった。 

 湯俣から2時間15分ほどでタクシーが待つダム上に着く。 ダムの水は抹茶のようなにごった色だ。 私はタクシーには乗らず、ジグザグ道路の石の上をショートカットして降りる。 やはりこのほうが速くて楽しいので次回は登ってみようと思う。 東電管理道路は皆がタクシーで行き来する中、犬と一緒に高瀬ダムまで歩く女性とすれ違う。 歩いているとタクシーの中から変な目で見られるが、他にも歩く人がいて心強かった。

11:15  七倉駐車場

まだ午前中で、なんだか不完全燃焼のまま終わってしまった。 しかし天候に恵まれ、色々なことを体験できて楽しい三日間だった。 とても寒い目にあったようだが、辛かったという感覚は残っておらず、また暫くすると寒い所に行きたくなるに違いない。 今シーズンもまだまだ歩きたいと思う。 

 おわり

                                                 

無雪期の記録に戻る