二王子岳:七滝沢

 

   (沢登り)

 

   岩間   田中 細田 みー(記)

    

       2010/7/17〜19

 

  

1日目  山梨→内ノ倉ダム→100m滝巻きの途中(泊)

 

2日目  →三俣(泊)

 

3日目  →二王子岳→二王子神社→内ノ倉ダム→山梨

 

 

          

二年前の秋、雨で敗退した新潟の七滝沢に行く事となった。

1泊2日で行ける沢であるが、新潟は遠いし、イワナの楽園と言われる沢でゆっくりできるように、2泊3日にした。

 

7月17日(土) 晴れ 一時 雷雨

 新潟の天気予報が曇のち雷雨であった事と、上信越道の渋滞発生前に通過したいので、朝5時に竜王役場に集合し新潟に向かう。

山梨県内で雨に降られたが、北に行くほど天気が良くなり、新潟は突然の梅雨明けのようだ。

横切る大きな川はいずれも増水していたが、とりあえず新発田I.Cで下りて内ノ倉ダムに向かう。

 林道入口の広場に車を停めて身支度を整えるが、とにかく暑い!焼けそうに暑いのだ!

汗をダラダラ流しながら本流沿いの荒廃した林道を歩いていくと、左から七滝沢が入ってくる。

本流に下りて渡渉しようとするが、9月には簡単に渡渉できた本流が、増水で簡単に渡れない。

再度、林道に上がり、もう少し上流に歩いていき、本流を渡渉する事にした。

本流は七滝沢と分けて水量は随分減っているのだが、私には水流が強すぎ、手を貸してもらって渡る。

 七滝沢に入ると巨岩のゴーロが続く。ボルダラーが大喜びしそうな巨岩がゴロゴロしている。

腰までの渡渉の繰返しと、巨岩の乗越しに加え、うだるような暑さで体力を消耗する。

渓相がいいので竿を出すが、あたりは少ない。やはり大滝手前までは釣人が入るのだろう。

全身ずぶ濡れになって巨岩を越えると、いよいよ大高巻きの始まりだ。

5段100m滝の大高巻きは、手前の滝の左岸についた踏跡から入る。

高巻きに入ると、さっきまでは晴天だったのに、突然雷鳴轟き、みるみるうちに暗くなってきた。

新聞が小さく見えます

今日のテン場は、高巻きに入ってすぐにある広い所。

ちょうど一段目の滝の正面で、すごい迫力。霧状の水飛沫が舞ってくる。

急いでカヤライズとタープを張り終えると土砂降りとなった。

このまま振り続ければ、撤退できなくなるような降り方であったが、

15分ほどで雨は弱くなり、やがて青空となった。

 雨が止んだので焚木を集め、田中社長は滝下に釣りにいく。

31cmと25cmの岩魚を釣って戻ってきた。

焚火でステーキ肉とホルモンを焼き・大岩魚のたたき、岩魚の塩焼きと

今日も豪華な食事を食べる。

すぐ近くに水も湧き出ていて便利なテン場であったが、

少し傾斜があるので、ずり落ちながら寝た。

<コースタイム>

 内ノ倉ダム(10:25)−七滝沢出合(11:40)−大高巻きテン場(14:45)

 

 

7月18日(日) 晴れ

5時前に起き出し、雑炊を食べて出発。今日は100m5段の滝の巻道の続きから始まる。

小さな枝沢を横切って登っていくと、支沢が大滝に流れ込んでいるのが見えた。

僅かについた踏跡の先には小滝があり、トラバースできそうもなかったので、もう少し登ってみるが大滝が離れていく。

先程あった踏跡まで戻ってみると、見た目ほど悪くなく小滝の上を横切って踏跡は続く。

踏跡は比較的しっかりついていて、潅木を掴んで沢に下りると、花崗岩の白い岩とエメラルドグリーンの淵が美しい。

美しい景色の中、いくつもの小滝を越えていくと、迫力ある7段130mの滝が目の前に現れる。

右岸についた踏跡を登っていくが、すぐに踏跡がわからなくなってしまう。

歩きやすい所を選んで登り、滝から離れないように右にトラバースを繰り返す。

いい加減うんざりし、岩間が空身で偵察に下りる。この先の滝は登れそうという事で、懸垂で沢に下りる。

きつい汗だくの大高巻きとなり、自分達が何段目の滝の上にいるのかわからなかった。

沢に下りて最初の滝は、水量が多くて水に浸かって取り付けず微妙なへつりとなる。

滝壺をみると足が出ず、ハーケンを打ってもらってビレーしてもらい通過して滝を登ると、左から沢が入っていたので、

これが6段40mの滝の一段目であることがわかった。2段目の滝からは問題なく越える事ができた。

 次に現れる20mの滝は、田中社長がロープを出して空身で登り、ピッチを切って全員の荷揚げをする。

フィックスを張って滝上に出ると、沢は緩やかになる。

 この先は竿を出しながらのんびり遡行と思っていたが、そうはいかなかった。

穏やかな平瀬の間には、小滝やゴルジュがあり、先程までの緊張感はないが気は抜けない。

昨日のような夕立が心配であったので、釣りはそこそこにしてもらって先に進む。

ゴルジュを抜けると再び平瀬になり、やがて三俣となる。

 三俣の右岸には、砂地の広い台地があり、今日のテン場とする。

焚火の準備をした後、2人は釣りにいく。

入れ食いではないので私は釣りはやめて、のんびりコーヒーを飲みながらご飯の支度をする。

魚影は濃いが岩魚が逃げてしまって釣れなかったと2人が戻ってきた。それでも、塩焼き3匹とお刺身2匹。

酢飯に岩魚の刺身をのせて食べたらご飯が止まらない。明日の朝食用に炊いたお米も全部食べてしまう幸せな時間であった。

 

<コースタイム>

 テン場(6:45)−100m5段高巻き(7:35)−20m滝(13:15)−三俣(14:43)

 

一つ目の大高巻きの後

20m滝上

 

 

7月19日(月) 晴れ 時々 曇

 今日は早めに起きて、焼きそばとスパゲティーを食べて出発。

水量は減ってきているが、まだまだ水量豊富で、美しいナメや小滝が続く。

6mヒョングリ滝は胸下まで浸かって登り、

次に出てくる小ゴルジュは最後の滝は左岸のスラブの草付きをトラバース。

感じが悪いので細田さんにフィックスを張ってもらって通過する。

取り付きが悪い小滝はショルダーで越える。

17mの滝は一段登り、上部は高度感があるので、岩間がロープを引いて登る。

これまた綺麗な3段3ツ釜の滝を越えても、ナメや小滝が美しい。

二俣を右に入ると右岸の残置にぶら下がって小滝を越えるが、

私はシュリンゲで引き上げてもらう。

昨日から何度を引き上げてもらっているのだが・・・

やがて源頭か?と思われるほど水量が減ってきて、5mの脆い滝を田中社長が強引に越えてロープをだしてもらう。

その上には取水口があり、どうやってトンネルを掘ったのか不思議であった。

取水口の上でまた水量が戻り、15mの滝は全身水をかぶって登り、藪が煩しくなった本流を忠実に詰めていく。

視界が開けると草原が広がり、雪田が残っていた。

最後は僅かに藪を漕ぐと二王子岳すぐ近くの登山道に出た。

荷物をデポして山頂に行くが、残念ながら飯豊の山は雲がかかって見えなかった。

山頂を往復し、一王子神社でタクシーを予約して二王子神社へ下り、タクシーに乗り内ノ倉ダムに戻った。(¥5,810)

 

 汗だくになった服を着替え、車の混雑を避けて磐越道の三川I.C方面に向かう。

三川の湯は源泉掛け流しで300円と格安で、地元の人たちで賑わっていた。

I.Cインターに入ろうとしたが看板もなく、ナビがあっても一発で入れない難しいインターであった。

あらいのハイウェイオアシスで「きときと寿司」に寄り、山梨まで戻ったら23時になってしまった。

 藪蚊の多い沢であったが、予想をはるかに越える迫力と美しさが混在する美渓であった。

標高が1400mくらいの山であったが、水量豊富で美しかった。山はやっぱり標高より山深さだと思った。

 

<コースタイム>

 三俣(6:11)−二俣(9:15)−登山道(11:23)−山頂往復―一王子神社(13:42)−二王子神社(14:33)

 

 

                        沢の記録に戻る