会津  霧来沢:もうかけ沢

(沢登り)

 

 

8月1日(土)〜2日(日) 

 

 

岩間 戸島  みー(記)

 

 

 

 

 

 

 

   幅広で写真に入りきらない「幻の滝」→

 

  「梅雨明け」とは名ばかりで、7月の3連休から不安定な天気が続いている。

甲府盆地は晴れても、南アルプスも奥秩父も雲に覆われたままで、家の近くの釜無川も濁ったまま。

 そんな状況であっても登れる、水量が少なくても綺麗な沢はないか?と考え、

 岳人の南会津の特集号に載っていた「もうかけ沢」に行く事にした。

 

 7月18日(土)曇 

  今日は、もうかけ沢の出合まで、翌日に遡行する計画のため、朝7時に竜王役場に集合。

 長野経由で磐越道の西会津I.Cに向かう。

 高速道路で横切る大きな川は、どれも濁流であったが、新潟に入ってからの「早出川」以北の川は、水も澄んで穏やかであった。

  西会津I.Cで下りて、国道400号で只見方面に向かう。しかし、この国道は林道のような細いクネクネ道で、距離も長い。

 金山町で十割蕎麦を食べて御神楽岳登山口まで車で入ると、早速、メジロアブがやってきた。

身支度を整えて、グチャグチャの登山道を、タマゴダケを探しながら、もうかけ沢出合まで40分ほど歩く。

 左から「もうかけ沢」が入ってくる所で登山道から外れ、沢を横切り対岸に渡る。

 出合にある一段高いある所にカヤライズを張り、河原にはタープとブルーシートを張って、雨が降っても焚火ができる準備をした。

  焚火に火をつけ、食事の支度を始めていると、雨が降ってきた。

 始めのうちは、タープの下で余裕で焚火を囲んでいたが、そのうち雷は近くで落ちるし、土砂降りを通り越し豪雨になった。

 川の水が少し増えたので、いつでも避難できるように、荷物や靴をザックの中にまとめて宴会を続けようとしたが、

 見に見えて水かさが増えてきたので撤収をする事に。

 間もなく、タープの支柱も焚火も水に浸かり、水が濁りだしたら、アッという間に大増水となった。

 さっきまで、サラサラ流れていた霧来沢は、川幅いっぱいに濁流が波打ちながらゴーゴーと音をたてて流れている。

 初めて見る急激な増水に、ナメの沢の恐ろしさを痛感した。

 まだ明るく、お酒もほとんど飲んでいなかったので、怪我も大した流出物もなく済んだ。

  そんな中でも、もう一段高い平地にカヤライズを上げ、濁流の音を聞きながら、宴会を再開する。

 西会津I.C近くで偶然見つけた蔵元で買った日本酒はとても美味しく、テントの中でも幸せ。

 雨は一時間ほどで止み、雨が止んで3時間たってから沢を見に行くと、水は透き通り、河原も現れていた。

 

 

 

 

左 : 増水前の河原

右 : あっという間に増水した

 

 

増水で流されたもの

      菜ばし × 一組

      酎ハイ × 1本

 

 

 7月19日(日)曇

  昨日より水量は明らかに多いが、薄曇の天気は持ちそうなので、沢を遡行する事にした。

 しばらくは、グリーンタフのナメや淵が出てきて「やっぱり東北はいい」と思わせる快適な遡行が続く。

  左から美しい滝を持った沢が入ると15mの滝が出てくるが、とても登れないので右から巻く。

 昨日の雨で、粘土質の草付はツルツル滑って登れない。

 岩間がアイスバイルを刺しながら登って、上からロープを出してもらう。

 樹林が出てきてもトラバースできる所がなく、上に上にと押し上げられ大高巻となった。

 次の滝も一緒に巻いて、懸垂2回で沢に下りる。

  すぐ先の淵は、戸島さんが試しに入ってみたが、足がつきそうもないので、左から巻くことにした。

 これも大高巻となり、懸垂1回で沢に下りる。

 次の10m滝も右のルンゼから巻きに入るが、やっぱり大高巻だったが、懸垂なしで下りられた。

  続く10mの滝は左の草付から登るが、岩壁になっていた。

 右の傾斜が緩いスラブは、粘土状の泥がついて登れず、正面の岩は脆い。

 左端あたりから岩間が登る。岩の抜け口が悪いので、上からロープを出してもらい、やっぱり大高巻

  「幻の滝」と間違えてしまいそうな上部がナメ状の巨大な滝が現れた。

 これを右から巻くと、なぜか立派な草が刈られた道があった。どこから来てどこに行く道だろうか?

 粘土質の足元で滑るし、潅木も濡れているので掴むのに力がいるので、大高巻で時間を費やしてしまったが、

 ここを過ぎると高巻きは終わり、美しいナメ床が続き、二俣となる。

  木々の間から「幻の滝」が見えたので、滝の下まで行って休む事にした。

 水量が多いので、水はスラブの上だけでなく、草原状の草付まで水が流れていて、とても神秘的。

 この水量の中、シャワークライムで登るのは辛いので、右の草付から潅木を使ってぐんぐん登る

 草付が切れてスラブになる所で、岩間がリードして滝上まで出る。

 下から見えているより、ずっと上まで滝は続いていた。(ロープ3ピッチらしい)

  この上は、幅は狭いがヌメリの傾斜もない快適なナメが延々と続く。

 奥の二俣を左に入ると、ヌメったナメとなり、傾斜も少しずつ出てきて気を使う。

 次に出てくる三俣を真ん中に入ると、更に傾斜はきつくなり、上部はホールドも乏しい滑り台のよう。

 岩間の靴はフェルトが剥がれてテーピングで固定した状態であるが、またしてもランニングをとらずトップを行く。

 50mいっぱいまでロープを延ばし、次に私がプルージックをとって登るが長かった。

  その後はナメとゴーロを繰返し、だんだんナメが少なくなっていくと、

 最後は、コンコンと水が湧き出す小さな穴があり、ここが源頭で水流は終わり。

 水がなくなった沢を歩いていくと、やがて沢型がなくなり藪となる。

 日尊の倉山の稜線に出ると時間が掛かるので、南に向かい、小尾根を越えて林道に直接向かう。

 ネマガリに蔦が絡みついた濡れた藪は鬱陶しい。小尾根に出ると林道が見えた。

 そのまま南に向かって藪を漕いでいくと、南西に向かう沢筋がでてきたので、藪を避けて沢筋を下っていくと、

 目の前に土管が現れ、この上が林道。地図上で耳の形をしているところに出た。

  林道を下り、ヘアピンカーブが続くところから沢を下降する。

 沢は問題なく下降できるが、最後の方で7mナメ滝が下りられず懸垂した。

 もうがけ沢との出合の滝は、樹林の中をトラバース気味に歩いていくと、やがて河原に下りられる。

 小雨が振り出す中、テントを回収し、それでもタマゴダケを採りながら車に戻った。

  車に乗ると雨は本降りになった。つるの湯に着いた時は18時過ぎだったので200円で入れた。

 帰りは会津坂下から磐越道に入り、燕三条と長岡の花火を見ながら北陸道を走り、山梨まで帰ったのは24時を過ぎていた。

 

  もう少しゆっくり登れると思っていたのですが、大高巻も多く、水量も多かったし、

 前日の増水、アブと蜂、1名股ずれ、鶴を目撃、花火・・・と密度の濃い週末となりました。

 それでも、やっぱり東北はいい。

 

 <コースタイム>

  出合(6:45)−二俣(11:47)−沢終了(12:56)−林道(13:53)−出合(16:10)−車(17:05

 

 

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