甲斐駒 黄蓮谷右俣 

(沢登り)

 

 

  平成20年8月1416

 

   

岩間 ヨウコ   みー(記)

 

 

 

 

 

←奥千丈の滝、中段テラス?の大阪パーティー

 

  夏休みは東北ツアーを計画していたのだが、東北の天気予報は悪く、天気が一番いいのは山梨。

13日の午後に行き先を黄蓮谷右俣に急遽変更。

下山日の16日の予報は雨。黒戸尾根は下りたくないので、仕事が終わってから芦安に車を1台置きに行く。

 

 8月14日(木)晴れ 時々 曇り

  朝5時半に竜王役場に集まり日向山に向かう。

 以前は「錦の滝」まで車で入れたのだが、今は手前の日向山登山道入口まで。

  身支度を整え出発するが、まだ朝7時前というのに暑い。林道を歩いていると汗がダラダラと流れてくる。

 錦の滝で一休みし、更に林道を歩いていく。暑さに加え、セミの声や林道に茂る草が鬱陶しい。

 やっと林道終点となり、トラロープが張られた急な道を下って沢に下りた。

  沢は花崗岩で白く明るく、水は緑。私は10年以上前に来た事があるが「こんな綺麗だっけ」と思った。

 少し涼んでから、ハーネスやスパッツをつけて出発。

  大きな淵や白いナメ滝が次から次へと現れてとても綺麗だ。時々、股下くらいまで水に入りながら進む。

 昔の渓谷道は残っていないが、登るのが大変そうな滝にはしっかりした巻き道があり、トラロープもあった。

 右から鞍掛沢が入り、更に進む。右岸から滝を大きく高巻いて沢に下りると左から1本支流が入る。

 「まさかこれが?」地図を確認すると左から1本沢が入っていた。このすぐ先が「噴水滝」だった。

  本谷と黄蓮谷の出合は明確に二俣となっていている。

 一つ目の滝を右から小さく巻こうとしたがバランスが悪いので、少々ガレた所をもう少し登って巻く。

 黄蓮谷に入り水量は半分になったものの、白い花崗岩の綺麗な沢を更に進んでいくと一際大きな千丈の滝。

 左の明確な踏跡から巻く。踏跡の出だしには竜神様が祭られていたので、無事下山できるようお願いした。

 五合目小屋からの踏跡は分らなかった。上から下りてくるには問題ないと思うが・・・

 でも、ここまでの道のりも素晴らしく綺麗だから、五合目から下りてきたら勿体ない。

  次の8m滝を右の巻き道から上がるとビバーク適地があった。

 先行パーティーの足跡があり、二俣の条件の良いテン場に確保されてしまう可能性もあったが12時5分。

 明日の工程(明後日の予報は雨)を考え、もう少し先に進む事にした。 

  坊主の滝は、右の支流を登り潅木帯に入って巻く。

 その先の二俣手前の滝は、ロープを出して、岩間が右端を空身で登り、ザックを引上げる。

  二俣が近くなり、テン場を探しながら進む。先行パーティーは奥千丈の滝を越えていったようでいなかったが、

 二俣には雪渓が残っていて、平らな箇所は雪渓の下のようだ。上部が少しガレているが、少し平らな所があった。

 岩間がテン場を探しに二俣の上まで探しに行く間に土木作業をしていると、見る見るうちに立派なテン場になった。

 大きい石も小さい石もどかして、葉っぱを引いてフカフカだ。流木も豊富にあり、焚き木も簡単に集められた。

 8月というのに、食べ頃のコゴミがあったので収穫。

 雪渓から雪を切り出して冷蔵庫を作って、ビールとチュウハイをキンキンに冷やした。

  食事の支度をしていると、5人の大阪パーティーがやってきた。

 小さいテント2張で来ていたが、平らな所は雪渓上しかないので斜面にテントを張っていた。

 今日もカヤライズで寝たが、ダウンを持ってきていなかった岩間は寒かったそうだ。

 

 <コースタイム>

  日向山登山道(6:41入渓点(8:35)−(10:45)黄蓮谷出合11:50)千丈の滝ー(14:30)二俣テン場

 

 

 8月15日(金)晴れ 時々 曇り

  朝4時に目覚ましをセットするが、暗いのでグタグタしてから起きる。

 稜線には雲が掛かっているが、今日も天気がいい。

 いよいよ「奥千丈の滝」。以前来た時は、ベルクラ状に凍って大高巻きしたハイライトの滝。

 トイ状の滝でロープを出している大阪パーティーに追いついた。

 私達も、今回が3回目の沢となるヨウコさんを真ん中にしてロープを出して、まず岩間が登る。

 先頭交代をしながら登るが、高度感はあるが悪くないので、最後尾はロープを手繰りながらになった。

 一箇所だけ、一瞬どうしよう?と思った所があったが、私はレイバック気味に越えた。

 この上の平らになった所で大阪パーティーが先を譲ってくれた。朝のんびりしていたのに、ありがとう。

 そこからは、左に大スラブを見ながら右端を登り潅木帯に出て、そのまま続く巻き道に入り奥千丈ノ滝を抜ける。

 人気の沢のせいか、間違った踏み跡もしっかりついているので分りにくい所がある。

  本流に戻ると10〜15mの小滝が連続するようになり、ヌメッている滝で1回ロープを出した。

 烏帽子沢手前の滝もヌルヌルで、岩間がロープを出し残置ピトンを使って登る。

 烏帽子沢は巨大なスラブが繋がっていた。

 このまま行くと、烏帽子沢に入ってしまうので右にトラバースして本流に戻る。

 奥の二俣には、雪渓がたくさん残っていて、雪渓を迂回しながら登る。 

  3段の滝は右の沢筋を少し登り潅木帯の巻き道に入る。

 巻き道に沿って進むと、簡単に沢に下りられたが3段目手前。

 更に巻き道を上に上がると正面に岩壁が現れた。左から本流に出ようとしたら、残置はあるがバンド状で怖い。

 岩壁を右から大きく巻き、やや薄い踏み跡を下降気味に辿ると、ちょうど3段の滝の上に出た。

  この先はただただ標高を稼ぐだけだ。

 最後の二俣を右に入り、登り詰めるだけ。お約束の黄色い花が咲いていた。

 風化して丸みを帯びた白い岩峰が出てくると間もなく鋸との稜線だ。登山道を5分程で甲斐駒の頂上に到着。

  登山道は高速道路のようで快調に下り始めるが、登りとなると一気に疲れがでる。

 駒津峰の登りは日差しも強くて辛い。折角乾いた服が汗で濡れてしまった。

 仙水小屋に泊りたい誘惑に負けずに北沢峠でテントを張る。

  カヤライズは寒かったので服を着こんで寝た。カヤライズは標高が南・北アルプスには向いてないね。

 東北ツアー用の全く軽量化していない食事がとても重かった。もう少し軽量化した方が楽だったな〜

 

 <コースタイム>

  二俣テン場(6:20)奥千丈の滝上(9:10)−奥の二俣(11:00)―三段の滝上(12:45)―甲斐駒山頂(15:15)―北沢峠(17:35)

 

 

 8月16日(土) 晴天

  天気予報に反し、本日は晴天。

 こんな天気がいいのに下山は勿体ないけれど、疲れているし稜線は暑くて歩きたくないので、バスで帰るのみ。

 北沢峠〜広河原〜芦安駐車場とバスを乗り継いで車まで。

 10時前なので営業していた芦安の金山温泉で汗を流し、日向山に車を回収に行った。

 遠出しなくてちょっと淋しかったけれど、3日とも天気に恵まれたのが何よりだった。

 

 

   (上)本流:花崗岩の白と水の緑色が綺麗です

 

   (右)千丈ノ滝:暑いので水に浸かって遊んでいます

 

 

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