葛根田川:北ノ俣沢〜

   大深沢:関東沢下降〜

        東ノ又沢

 

     −沢登り―

 

 

2007.8.12〜14 

天気:晴れ

 

岩間.フライマン みー(記)

             

 

  今年の夏は、赤湯又沢に温泉玉子を作りに行く予定だったが、皆の休みが合わなかった。

 赤湯又沢には雪稜クラブは誰も行った事がないので、次の機会にとっておいて、

 昨年、Akisan・田中社長が行った葛根田川に行くことにした。

  11日土曜日の夜9時頃に甲府昭和I.Cを入る。

 東北自動車道の栃木県内の渋滞を避け、中央道〜圏央道〜関越道〜北陸道〜磐越道を順調に経由して

 福島県から東北自動車道に入ると、交通量が極端に増える。

 SAやPAは近づく度に車は詰まり速度は落ち、SA・PAは入口から車が繋がり入れたものではない。

 一関手前から交通量は突然減り、やっとスピードが出せる。(でも首都圏の人にとっては順調というのかも)

  朝7時前に滝ノ上温泉の駐車場に到着。

 

 8月12日(日)晴れ

 ***葛根田川遡行***

  仮眠をとらずに7:45出発。

 地熱発電所のパイプ沿いに、舗装された林道を歩いていくが、とにかく暑い。

 途中から舗装はなくなり、両側が草で覆われ、右にカーブして沢から離れる手前から踏み跡と辿って沢に下りる。

 

  川は予想以上に広く穏やかで、腰くらいの渡渉を繰り返していく。

 右岸から2つほど滝が入るが、2つ目の滝は末広がりの大きなナメ滝で綺麗だった。 

 秋取川は滝を掛けずに右から本流に注いでいるが、大ベコ沢もきれいなスラブ滝を掛けて本流に注いでいる。

  大ベコ沢を過ぎると大きく深い淵が出てきて、これを左から越えると「お函」だ。

 「お函」はとても綺麗で、今回は増水もなかったので問題なく通過できた。

 万が一、ツルっと滑って淵に落ちても安全だが、底が見えないエメラルドグリーンの深い淵には落ちたくない。

  「お函」を過ぎると1:1で大石沢と出合い、本流の水量はぐっと減る。

 下部が段々の沼ノ沢、中ノ又沢を過ぎて現れる葛根田大滝は、明確な踏み跡を辿って右から巻く。

  やがて、最高のビバーク適地と云われる滝ノ又沢出合に着くが、既に2パーティーがいる。

 ここは広くて平らな台地にあるが、木陰にビバークできるのは、1パーティーのみ。

 日当たりが良すぎて灼熱のため、もう少し先にビバークできる所を探しに行く。

 北ノ又沢の右俣に入り、5分ほどの左岸にビバークする事にした。日も当たらず快適だった。

 

  テン場に着いてから岩魚を釣る予定だったが、先行者が既に竿を出しており、

 釣れたのは3匹で質素な晩御飯となった。

 

 (コースタイム)

  駐車場(0:20)入渓(1:15)大ベコ沢出合(1:10)大石沢出合(1:05)大滝上(1:10)滝ノ沢出合

 

 8月13日(月)晴れ

  朝4時に起きたが、まだ暗いので、もう一眠りして4時45分に起きて6時15分に出発。

 テン場から少し戻り、左俣に入る。

 小滝群を越えると、右岸にビバークできる平らな所が一箇所。

 さらに上には、もっといい所が一箇所あり、昨日もう少し上まで行くと言っていた学生君達が泊まったようだ。

 水量がだいぶ減ったナメを歩いていくと、20m大滝。

 学生君達はロープを出して直登していたが、抜け口がスラブでホールドに乏しく悪い。私達は左から巻く。

その上の8m滝は、空身で岩間が滝の右を登り、ロープを出してもらう。

 8m滝の上の二俣を左へ。その上のスラブ滝の上の二俣は左へ。ヤブ漕ぎもなく登山道に出ると、10分で湿原に到着。

 

 ***関東沢下降***

  湿原を横切り、関東沢に下降を始める。

 2.3年前に買った「いわての沢」にイワナを追いかけながら下降すると載っていたので楽しみにしていた。

 期待以上に魚影は濃く、尺イワナが泳ぐ姿も見られた。

左から支流が入り20分ほどで、左俣との出合になる。

 出合の下の滝は、最後の下り口が悪いので右岸から懸垂でおりる。ここ以外は全く問題なく下降できる。

この先も、イワナを追いかけながら下降すると、大深沢の本流に出る。

 

***本流・東ノ俣沢遡行***

本流に入れば、今日のビバーク予定地までは1時間なので、竿を出すことにした。

 関東沢の方が魚影は濃いが、フライマンは次から次へと岩魚をつりあげていく。

 たぶん返しがついていない針だと思うが、ほとんど手に触れることなく、小さい岩魚をリリースしている。

 餌釣りに比べ物にならないほど岩魚が釣れる。来年はテンカラでもしようか?と思うが、腕もあるんだよなと考え込んでしまう。

 

  長く続いたゴーロが終わり二条の滝が出てきたところで釣りをやめる。

 ここからは、渓相が変わりナメとなり、まもなく「ナイアガラの滝」になる。

  「ナイアガラの滝」は、幅広のため、パノラマ写真でないと全景が写らない。

 左の滝は豪快で、右の滝は段々のナメ滝。私達は右の滝の左端を登った。

 この滝の上は、すごい幅が広いナメになっていて素晴らしい。

  三俣の右岸に絶好のビバーク地があったが、ナメが続くため流木が全くない。

 焚き木を集めるのが大変なので、絶好絶景のビバーク地を後にして先に進む。

 

  東ノ俣沢に入ってもナメは続き、ナメが終わってしばらく行った右岸の高台に泊まる事にした。

 学生君達の一人が、「沢山歩きたい人がいるからもっと先まで行く」と嫌そうに歩いていった。

  今日は、岩魚もそこそこ釣れたので豪華な食事となる。岩魚のタタキ、ムニエル、塩焼きと・・・

 

 (コースタイム)

  テン場(0:45)二俣(0:45)大滝上(1:20)湿原(1:20)関東沢左俣出合(1:20)本流出合

  (2:00)三俣(0:20)右岸テン場

  

 

ナイアガラの滝   左 

 

   右

 

ナイアガラの滝上のナメ

 

 8月14日(火)晴れ

 

  今日は6時20分出発。

 歩き始めて10分ほどの左岸にもビバーク適地があったが、学生君達が泊まった形跡はなし。

 さらに歩いていくと、ゴロゴロの河原を気持ち平らにして泊まった跡があったが、

 増水したら流されるだろうし、なによりゴツゴツしているので私達は泊まりたくない、さすが学生だ。

  1時間ほどゴーロを歩くとゴルジュが出てくるが、問題なく通過できる。

 ゴルジュの先で左から沢が入るが、学生君達は大深岳に直登するこの左俣に入ったようだ。

  私達は右俣に入り、地図と方角を確認しながら進む。枝沢の進む方向が南から東に変わるところで稜線にあがる事にした。

 ヤブを漕ぐ事もなく一つ目の湿原にでて、5mほどササを漕いで出た湿原は、1384ピークの肩だった。

 

 

 

 私達にとっては、ここからが核心だった。

盛岡も観測至上の最高気温36℃となった日で、稜線は日差しを遮るものはなく暑い。

急遽参加となったフライマンは、手持ちの装備だったので気の毒であった。

軽量化された私達の装備と違い、暑さが重さに輪をかけ体力を消耗する。

 大深岳をピストンしたが展望はない。

三ツ石山に向かう稜線は綺麗だ。涼しければ気持ちいいだろう。

とてもきれいな三ツ石山荘から2分ほどの下ったところで、水を補給し下る。

 とにかく暑かった。汗で上着もジャージもびしょ濡れになってしまった。

駐車場近くの「みやま山荘」でお風呂に入り、宿泊地の花巻の湯治宿に向かった。

  

  最後の稜線歩きは暑くて辛かったけれど、天気にも恵まれて楽しい沢であった。

 アブもヤブ蚊もほとんどいなく、テン場でもくつろげた。東北随一の癒しの沢に納得! 

 アブと云えば、沢の中よりも花巻の鉛温泉宿の方が比べ物にならないほど沢山いた。

     

 (コースタイム)

   テン場(3:15)登山道(6:00)滝ノ上温泉

                  

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