一ノ瀬川 大常木谷・竜喰谷下降 (沢登り)

 

                   200.29〜30    岩間 みー(記)

 

 

   田中君が仕事で急に行けなくなった。「大常木は取っておく」と言ったが

  適当な沢が見つからず、結局、大常木に行く事になった。

  田中君は、来週は葛根田・再来週は追良瀬に行くのだから、今週の土曜は仕事になっても仕方ないと思う。

  

   さて大常木の山女淵には男の幽霊がでるらしい。

  その男性の幽霊はスーツを着ていて釣りをしている。しかも暴釣らしい。

  釣った魚を一升瓶に詰め込んでいる。普通は一升瓶の口は小さいので魚は入るはずはない。

  特に悪さをする訳ではないが、スーツを着ていると言うので最近の幽霊だろう。

    

  

 

不動の滝の下。まもなくゴルジュが終わる

首を絞められている大常木の「あまご」

 

   7/29 曇り 時々 小雨

   今日は、会所小屋までと決めていたので朝7時に起きる。

  青梅街道から一ノ瀬の部落に入る林道近くの「おいらん淵」は、先頃の崖崩れですっかり埋まってしまった。

  大雨が降れば、まだまだ崩れてきそうだ。

  「滑落死亡者事故多し」の看板がある小尾根から下降するが、車は既に止められず少し下に戻り車を止める。

   

   踏み後がしっかりした小尾根を下降し本流を下って行くと、左岸から大常木谷が流れ込む。

  以前、敗退した時とは全く沢の感じは違い、穏やかな流れだ。

  最初に出てくる5mナメ滝は右から簡単に巻く。

   次は、前回、泳いでも泳いでも押し戻された五間の滝。ここで泳ぐようであれば引き返す予定だった。

  ロープを出しているパーティーがいたので先に行かしてもらう事にするが、

  右からへつると淵は腰くらいの深さである。前回どれだけ増水していたのだろう。

  滝もホールドが豊富で傾斜もなく、少し水を浴びる程度で登れる。

 

   しばらく、竜喰谷と似たきれいな沢を歩いて行くと、25m千苦ノ滝が現れる。

  左岸から高巻くが、踏み後がしっかりついている。トラバースする所が少し悪いがフィックスがある。

  いつのトラロープだか分からないので信用はできないが・・・

  この頃から小雨が振り出したので、早く山女淵を越えた方がいいのでは?と先を急ぐ。

 

   いよいよ山女淵となり、防水を確認する。

  一つ目の淵は、淵の真中に横たわっている水中の倒木をつたって左岸のフックスまで行き越える。

  二つ目の淵は、淵に上に横たわっている倒木を使い越える。

  最初の瀞は、左の壁をトラバースして行く。次の瀞は濡れる事なく左側を行ける。

  最後の瀞は、左壁を上がりクライムダウンし瀞の流れ口に出る。泳いだ方が簡単そうだ。

  4m3mの続く滝は右から巻く。

   不動の滝は、左壁から上にあがり、立ち木から懸垂で降りる。

  降りた後にわかったが、しばらく先に進めば簡単に河原に降りられる。

  結局、一度も泳がずに腰位までしか水に浸からずゴルジュを抜ける。

 

   雨も小康状態で、核心は過ぎたので岩間が竿を出す。

  御坂山岳会の人から「魚はいない」と言われていたので、私は竿を持って来なかったが残念である。

  小さい「あまご」でさえ20cm。大きいものでは25cm超はある。

   あたりがあると言うより、竿を上げると魚がついていると言った感じ。

  後続パーティーがやってきたので、テン場確保のため、釣りをやめる。

   

   会所小屋のテン場は広く、今日は3パーティーが泊まる事になった。

  「3パーティー合同で焚火をしようか」と言う話になる。

  今日は木が湿っている。既に焚火の準備をしているパーティーの焚き木の集め方に不安を感じ、私は反対する。

  私達は横浜から来た山岳会の人達と焚火をする事にした。橋本師匠直伝の焚火の方法で、私達は一発点火である。

   この直伝の焚火は、着火後に焚火の世話の必要は全くない。何もしなくていいのでくつろげる。

  火の強さも一定のため、料理もできるし、服を乾かすのも楽である。

  晩御飯は全て焚火で済ませる。久しぶりの「あまご」の焼きがらし・カバ焼きはおいしかった。

   別パーティーの焚火はなかなかつかず、扇ぎ続けて私達が寝る頃やっと燃え出していた。

  夜の11時半頃までかかって、服を乾かしていたそうだ。

  

 

   7/30 晴れ

  今日は天気がいい。横浜パーティーは大常木を忠実に詰め、将監峠から一ノ瀬に降りるそうだ。

  私達は、大常木林道から竜喰谷に入る。

  大常木林道は会所小屋の脇から大常木谷に沿って下る感じで道がある。

  崩れた所には、比較的新しい木の橋がつけられ整備されていた。

  林道がヘアピンカーブで曲がるあたりが竜喰谷までの半分くらいだろう。

  井戸沢も過ぎて、しばらくすると竜喰谷だ。ここには大常木林道への立入禁止の看板がある。

 

   釣屋も多い竜喰谷の滝は、脇から下れない所には全て巻き道がついていて右岸から巻く事が多い。

  F7とF6は少し戻って右岸から一緒に巻く。下降は高度感がある巻きだ。

  F5・F4(下駄小屋の滝)も右岸から巻く。

  ここで竿を出すと、すぐに「あまご」が釣れるが小さいのでリリースする。

  F1・F2も右岸から巻き河原におりると、間もなく一ノ瀬川の本流に出合う。

   本流の左岸についた踏み後をたどり、少し下流で一ノ瀬川を渡渉に林道にあがる。

  林道を下り、車を止めた所まで戻る。

  林道で横浜パーティーの車とすれ違う。一人だけヒッチハイクをして車を回収に来たそうだ。

 

 

   大常木も竜喰も、とても美しい沢である。もう一度行きたい沢だ。

  いずれの沢も日帰りで遡行する人が多いようだが、次に来る時もやっぱり泊まりがいい。魚影も濃いし。

 

 

   コースタイム

  29日:大常木下降点(0:30)大常木出合(1:00)千苦ノ滝の上(2:00)ゴルジュ終了(1:00)会所小屋跡

  30日:会所小屋跡(1:50)竜喰谷(3:00)竜喰谷下降点(0:25)大常木下降点

          

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